■英数字 Happy? (Grateful dead. Grateful life.) 断絶しながら修正する、僕等の言葉達へ。 「携帯電話、鳴った？」 Hello. I'm so happy. Grateful dead. Grateful life. 「もう寝た？　其れとも起きてる？」 何の気なしに交わした、意味の無い言葉の中に 僕等の宝物が隠されている事を 少しだけ思い出してよ。 「何も無い一日だったよ」 徹底的な黒。 そんな場所で僕等が求めたモノが 一体どんなモノだったのか、今でも思い出せる？ 大抵、誰もが同じなんだ。 選択肢は常に三種類しかなくて、たった其れだけの事を 世界が終わるような顔をして、僕等は朝まで悩んでいた。 振り返る事。 立ち止まる事。 其れから 前に進む事。 「其の声が好き」 其の声が好き。 其の指が好き。 其の顔が好き。 僕等の会話が言葉だけで行われていた訳じゃない事を 僕の記憶が教えてくれるし、君の記憶が教えてくれるだろう。 あの瞬間の匂いが好きだ。 熟れて弾ける熱の匂い。 君の名前を忘れても、君の匂いは忘れない。 記憶の穴を穿り返して、溶けた熱を指で捏ねるみたい。 「何処、見てる？」 断片的な昨日に見えて、やはり全て繋がっている。 僕等は幸福が欲しかった。 青い鳥が青い空と同化してしまえば、やがて見えなくなる気がする。 だけれど消えた訳では無い。 「世界を一周、最初は何処へ？」 何処へでも。 遠くとも、近くとも。 僕の手に届く範囲が、僕の世界だ。 もしも僕等の選択に間違いがあるならば 世界よ、どうか機嫌を直して欲しい。 罪や罰を背負うように生きてはいけない。 背負うなら。 「あの映画の続き、どうなるの？」 僕等は走った。 校庭を何周も走った、あの頃のように走った。 楕円形状に繰り返される競争の中で、何個か気付いた事はある。 償うのなら、今の途上で。 悲しむ事も、労う事も、尊ぶ事も、今の途上で。 其れから、やはり笑うなら。 「暖かくして寝てね」 絹糸を紡ぐような夜だ。 弾丸を放つような朝だ。 祈るような昼を迎えて、また夜が来るよ。 君との電話を切る瞬間の寂しさと 眠りに落ちる寸前の寂しさは きっと、よく似ているよ。 「私が欲しい？　君が欲しい？」 其の全て。 其の欠片の全て。 途切れる事の無い夢の 君の小さな祈りの全て。 「おやすみ」 「おはよう」 断絶しながら修正する、僕等の言葉達へ。 「ねぇ、ねぇ、今日は幸せ？」 ほら、ほら、洗濯機が回っているよ。 Hello. I'm so happy. Grateful dead. Grateful life.