■か行
果汁




君は何処に居るのだ?

暁は何処に昇るのだ?

分度器のような僕の世界を 東から 西まで


林檎の嫌いな僕が もしも林檎を食べるなら

君に逢いたいから 君に逢いたいからなのさ

林檎の果汁を搾り出して 君の方角を知りたいなぁ


汗は何処へ流れるのだ?

涙は何処へ枯れるのだ?

方眼定規のような僕の世界を 空から 海まで


赤道をまたいで 北極と南極を 望遠鏡で覗き込んで

丁寧に寸法を測って 世界の全てを知りたいんだけど

どれだけ正確に世界を知ったとしても 君には出逢えないなぁ


僕は君を傷付けたかなぁ

君は僕を傷付けたかなぁ

林檎の歯型だけが やけに鮮明だとは思わないか?


どうでも良い事なんだよ 泣いた回数なんてのは

知った顔して近付いてきた奴等に 愛想を尽かした回数も

競った顔して唾吐いてきた奴等に 感情を壊された回数も

どうでも良い事なんだよ そんな回数の話なんか


何を食べ 何を飲み 何を話し 何を憂い

何を吐き 何を吸い 何を求め 何を諦め

何を同意されずに 何を理解した真似をし

何を大層な文字に込めて語り尽くそうとし

何に飢えてるんだ


分度器と定規と鉛筆で 世界の全てを描こうとしても

クソガキが画用紙の上に描いた地球の方が よほど真実なんだぜ

言葉だけが破綻して 別に何も伝えたい事なんか無かった事に気付くんだ

林檎みたいな地球だな


林檎の歯型だけが やけに鮮明だとは思わないか?

果汁だけが僕の中に染み込んで 何時までも落ちやしないだけなのさ

林檎の歯型だけが やけに鮮明だとは思わないか?

果汁だけが僕の中に染み込んで 何時までも落ちやしないだけなのさ

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