■さ行
晴天。そして梅雨は明ける。




だれけど簡単じゃ無いって事を、僕は知っている。
それでも難しく考える事が素晴らしい事だなんて、考える必要は無いんだぜ。
アリストテレスが夜空を仰ぎ、アマデウスが音色を奏で、ゴッホが白夜を彩るならば、気分は晴れるかな。

中々どうして、気分は晴れないな。皆は何を考えてるのか、身勝手なニュースが鳴り止まない。
世の中は単純だったのに、気が付けば複雑なルールだらけになっちゃったな。
食って、眠って、育てるだけじゃ、どうにも満足できないらしい。

複雑な世の中で、単純な問を解き明かしてみせたい。
誰かは存在証明する為に朝五時に起きて会社に出かけ、誰かは静かに帰りを待っている。
誰かは存在証明する為に誰かを刺し殺し、誰かは存在証明する為に屋上から飛び降りてみせた。
それで何も変わらなかったのだとしたら、何と虚しい社会だろ。ほら、三週間前のニュースを覚えているか?

僕は君の事が気になって仕方が無いし、君の事が気がかりで仕方が無い。
それで僕は、全身を駆け巡る言葉を駆使して、何とか君に何かを伝えようとするんだけど、
大切な気持ちに限って、まるで言葉なんかじゃ伝えられない。
空回りする感覚だけが、そうやって何時だって、僕等を不安にさせるんだ。

君は今頃、泣いているのか?
それとも青と白の境界線で、空を見上げて祈るのか?
何処かの空では希望に満ちたロケットが飛んでいるらしいし、
何処かの空では絶望に満ちたミサイルが飛んでいるらしいよ。

アリストテレスが夜空を仰ぎ、アマデウスが音色を奏で、ゴッホが白夜を彩ったとしても、
僕等の気分は晴れないのは、一部のサブカル野郎が知った顔で物事を語っているのを見た時と同じで、
シンプルな世界に理屈を付けて、わざわざ難解なコミュニティを演じてしまうからに他ならない。
あらゆる情報を手に入れて、本物を知っている奴が正しいなんて、誰が決めたのさ。
僕等が生きている世界なんて、もっと小さくたって良いんじゃないかね。
近所の家の庭に、初夏の花が咲いていたよ。ああ、美しい。

君は今頃、泣いているのか?
気分が落ち着いたら、久し振りにカラオケにでも行こうよ。
君の大好きな海でも良いよ。それとも車の中で、雲を眺めるだけでも良い。
僕は夏が大嫌いだ。もしかして君は夏が好きだろうか。もしも好きだとしたら、それで良いよ。
とにかく朝が訪れて、君の笑顔を待っている。

また喋りすぎた。少し後悔してるよ。
だけれど何も伝えないままよりも、これはずっと素敵な事だって、僕は知っている。
ああ、スプライトが飲みたいな。たまに飲みたくなるんだよ。別に好きって訳じゃないんだけど。
多分、夏が近付いているからだと思うよ。

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