■わ行
惑星のバロック あとがき -前編-




はじめに

本作【惑星のバロック】は、筆者がmixiの日記上で起こした、ある企画の中から生まれました。
当項では、企画時の筆者の感想と、 本作の作業工程をお話ししていきたく思います。
まず始めに、それは一体、どんな企画だったのかと申しますと……。

・mixiに日記スペースだけを確保しておく。
・読者に自由なリアクションで、先にコメント(感想)を書いてもらう。
・筆者は、そのリアクション(感想)に合わせて、日記を書かなければならない。

簡単に言うと、以上のような企画でした。
要するに「まだ書いてもいない日記の感想が、すでに書かれている」状態を作り、
すでに書かれた感想に合わせて、一本の日記を書いていこう、という試みだった訳です。

当然、筆者本人も、 自分がどんな日記を書かなければいけなくなるのか、
まったくもって予想ができておりませんでした。
初日に日記のスペースを確保して、自由なコメントを募ってから24時間が経過。
読者から集まったリアクションは、総計43コメント。
非常に自由なコメントが集まりました。

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■【リアクションに合わせた日記】の作り方

全てのリアクション(感想)が出揃ったところで、
まずココからどんな日記を書く事が可能なのかを考えました。
選択肢は何個かあるが、すぐに消えていく、完全な消去法となります。
まず最初の選択肢は 、

・フィクションで書くか
・ノンフィクションで書くか

この二つになります。
普通の日記ならば、基本的に実話。
そこから【コラム】だとか【エッセイ】に派生する。

例えばコメント欄の一番上には、ある女性が書いた

「バッハのG線上のアリアが流れる厳粛な空間と、
 それに対比した奇抜なカラーリングのつんつんヘアーに
 ちぐはぐだけど個性的すぎるファッションのかりかりに細い女の子。」

というリアクション(感想)がありました。
この段階では、まだノンフィクションで書く事が可能です。
筆者は「そういう女の子をどう思うか?」というコラムを書けば良いからです。
ところが続いて別の女性が、

「まさか、かつらボクサーがあそこまで活躍するとは思いませんでした。」

というリアクション(感想を)書きました。
この段階で、ノンフィクションで日記を書くのは少し難しくなりました。
何故なら【かつらボクサーが活躍する】という場面は、
現実的に考えると、非常に稀有なシチュエーションだと考えられるからです。

ボクシングのリングに、カツラを付けて上がっても良いのか?
その上、そのようなボクサーが活躍したという前例はあるのか?
もしも、それをテーマにして書くならば、色々と調べなければならない。
また、その中に前述の【女の子】と【G線上のアリア】を絡めなければならない。

それでも、この段階では、まだ【コラム】として書く事も充分可能でした。
カツラボクサーは、何かの例え話に使えば良い訳ですから。
最終的に方向を決定付けたのは、また別の方が書いたリアクション(感想)でした。

「双子だったなんてびっくりです。」

この段階まで来てしまったら、ノンフィクションでまとめようとするのは、かなり難しい。
厳然たる事実として、筆者は双子の生まれではないのです。

ところが本企画上は、筆者自ら「僕は双子だ」と書いたから、
このリアクション(感想)がコメントされた、という設定になっていました。
双子というリアクション(感想)を否定してはいけないルールなのだから、
この段階で、日記はフィクションで書く事が決定されました。

そう、【物語】です。

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■【ノンフィクション】という世界観

ノンフィクション=物語を書こうと決定はしたものの、
それではどんなジャンルの物語にするべきか? を考えました。

全てのリアクション(感想)を眺めていくと、
驚くほどコメントのジャンルが、全てバラバラでした。
具体的なリアクションを取り上げていくと、以下のようになります。

・バッハのG線上のアリアが流れる厳粛な空間が舞台

・カリカリに細い女の子が登場【※登場人物1】

・女の子は奇抜なカラーリングのつんつんヘアー

・女の子はちぐはぐだけど個性的すぎるファッション

・かつらボクサーが活躍する【※登場人物2】

・宇宙確保宣言をする

・○○から発生する(○○部分に具体的な指定は無し)

・変身できる

・双子である【※登場人物3】

・肌と唇がツヤツヤ

・スーパーマリオの裏技が出てくる

・ノンケの人は主人公の気持ちに応えられない

・ところてんぬ

・紳士的な行い

・姫初めをする

・今週のジャンプはエロかった

・命を大切にする

・恥ずかしい事をする

・エロすぎる

・ボブカットの女の子が登場【※登場人物4】

・御主人様。

・小説【彼女はモスキート。】の意味を匂わせる

・感動のシモネタストーリーである

・新年の決意的なものを織り交ぜる

・放送コードギリギリ

・指画像

・炭焼き(焦げすぎ)

・三角関数は使わない(←三角関係に見える)

・全米が泣く

・ぶっちゃけやりすぎ

・実は全部嘘なんじゃないか

・笑いは偉大

・『右折』の看板が『友近』に見える

・何ドレかと思ったら青じそドレだった

・トッポジージョ(ガンバじゃない方)

・寒いギャグを爽やかに言う


具体的なリアクションを取り上げると以上のような感じになります。
ここから更に抽象的なリアクションを取り上げていくと、さらに物語まとめていくのが難しくなる。
それは以下のようなコメントでした。


・はっくしょん!!

・へぇ〜!そうだったんだぁ〜。

・あの部分はテンションがっつり上がりましたもん。

・ぶぶっ(^m^)

・まっ ( ´・ω・`)_且~~ イカガ? 【※お茶を飲む】

・それって私と同じですよー(*_*;

・にゅるんぽにゅるんぽ!

・ほんと深いですねぇ。

・(´・ω・`)

・欧米か!

・(笑)


以上。
このリアクション(感想)がコメント欄に残っていても、 まったく違和感のない物語を仕上げなければならない。
それが本企画における、唯一の絶対的なルールでした。

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■【SF】を書いてみたかった

まず物語の世界観を決めようと考えた時に、 最初に書かれていた、

「バッハのG線上のアリアが流れる厳粛な空間と、
 それに対比した奇抜なカラーリングのつんつんヘアーに
 ちぐはぐだけど個性的すぎるファッションのかりかりに細い女の子。」

というコメントが、ほとんど全ての方向を決定付けました。
ゴシック・ロリータな雰囲気と、サイバー・パンクな雰囲気を連想したのです。
続いての「宇宙確保宣言」というコメントで、 世界観はほとんど完成したと言っても良かった。
この作品には宇宙が絡んでいる。

SFという世界観を、僕自身はほとんど書いた事がなくて、
だけど以前から書いてみたいと思っていましたので、それは非常に良い機会でした。
考えてみるに、僕は小さい頃から、SFが大好きだったのです。

小学校の図書室で、ジュール・ヴェルヌにワクワクしたし、テレビもマンガも映画でも、SFの世界に陶酔してる。
その割に、自分では書いてない事に気付いたのです。

正確に言うならば、そうそう書けない。
好きだからと理由だけで、簡単に書ける訳が無いのです。
ところが少なくとも本企画に限っては、SFの世界観を選択する事は、ひとつの突破口になりそうでした。

この荒唐無稽な43個のリアクションと対峙した時に、
「まったく脈絡の無い、訳の解らない世界」
を書こうとした時に、少なくとも今回、SFの世界は僕を助けてくれる気がしました。

当然だ。
誰も正解を知らない世界を書けば良いのだ。
そして僕は、私なりのSFの世界を構築していく事にしたのです。

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■後編へ続く

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